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報告記事:第62回国連女性の地位委員会(CSW62)

6June

報告記事:第62回国連女性の地位委員会(CSW62)

国連女性の地位委員会(UN Committee on the Status of Women)は、各国政府代表者が世界中の女性の状況と必要な行動を協議・決議する場であると同時に、数千のNGO参加者が集う場です。世界YWCAは、NGO・市民社会としてCSWの設立に大きな役割を果たし、現在に至るまで毎年代表団を派遣して情報提供やメッセージの発信を行っています。大きな目的は、若い女性のリーダーシップとエンパワメントを国連の場で発信し、広げることです。日本YWCAは、世界YWCA代表団の一員としてこの会議に参加しています。
2018年度は、日本YWCAより7名がCSWに参加しました。以下は、世界YWCAによるCSW62報告記事になります。

3月に開催された国連女性の地位委員会(CSW)に、世界20ヵ国以上の国から100人近い代表団が多様な声を届けるため、参加しました。代表団の40%以上を超える人が若い女性でした。
CSWはジェンダー平等を進める上で、最も重要な政府間機関の一つです。また、YWCA運動にとっても、私たちの権利を主張するため一同に会し、共に「2035年へのビジョン」を進めていく上で重要なプラットフォームとなっています。この年1回のイベントでは、世界YWCAと各国の加盟YWCAが共にはたらき、世界中の代表団をつながり合わせ、能力を育成し、そして若い女性が立ち上がり政策立案者にむかって共に声をあげるための場を提供しました。

 

100人以上のYWCAの女性が、CSWで声をあげました!
CSW62会期中、世界YWCAはUN Womenや他の市民団体(FRIDAやAWID、WAGGGSを含む)との共催でCSW62ユース・ダイアログを開催しました。ユース・ダイアログには、世界中から200人以上の若い提言者が参加し、CSW62の優先テーマ「農山漁村女性と少女のジェンダー平等とエンパワメントのための課題と機会」について議論しました。
ユース・ダイアログに先立ち、若者の多様な声、特に農山漁村地域の若者の声が必ず聞かれるように、オンライン相談会や国別のフォーカスグループ間での対話を実施しました。また、事前にユース・ダイアログでの発言者を選出し、多様な若い女性、また周辺化された若い女性の声が強調されるようにしました。
YWCA運動の若い女性の何人かはユース・ダイアログにおけるワーキング・グループのファシリテーターとなり、またケニアYWCAのメルシー・ンジサ(Mercy Nzisa)は終日司会者を務めました。ユース・ダイアログには、UN Womenのプムズィレ・ムランボ=ヌクカ(Phumzile Mlambo-Ngcuka)事務局長や、ジャヤマ・ウィクラマナヤカ.(Jayathma Wickramanayake)国連事務総長青少年問題特使をはじめ、重要な立場にある発言者や政策立案者も参加しました。
ユース・ダイアログでは成果の一つとして、特に農村地域の若い女性や少女の課題を取り上げるためのガイドラインやパラメーターが作成されました。これらのガイドラインは近々公開され、国家や地域、国際レベルでアドボカシー活動ができるよう全ての人をエンパワーする助けになるでしょう。

世界YWCAとオーストラリアYWCA主催の朝食会で、若い女性が問題提起を行いました
CSW62会期前、オーストラリアYWCAとマラヤ・ハーパー世界YWCA総幹事の主催で、国連オーストラリア政府代表部と、オーストラリア女性と子ども担当グローバル大使、シャーマン・ストーン(Dr. Sharman Stone)との朝食会が開かれました。朝食会では、サモア、パプア・ニューギニア、オーストラリア、ネパール、日本、パレスチナ、スウェーデン、スコットランドのYWCA出身の若い女性が、彼女たちが直面している現実、そしてリーダーシップへの道のりについて共有しました。
若い女性たちは、ますます強まる「性と生殖の権利」を後退させるような動きや、複合差別に取り組むフェミニズム、周辺化された若い女性たちの声がどのように聞かれるようにするか、ということについてそれぞれが持つ懸念を述べました。また、ボディシェイミング(身体について批判したり、あざ笑い、辱めること)や、農山漁村地域の若い女性が直面する課題、LGBTQI運動のリーダーとしてどのように声をあげるべきか、ということ、そして厳しいビザ規制によって、ニューヨークへの渡航を阻まれてしまった女性たちがいることなども語られました。オーストラリア政府女性推進室のトリッシュ・バージン(Trish Bergin)事務局長やアボリジニ・トレース海峡諸島民社会的公正コミッショナー(Aboriginal and Torres Strait Islander Social Justice Commissioner)のジューン・オスカー(June Oscar AO)も朝食会に参加し、若い女性の話に耳を傾けました。

YWCAの代表団が出会いました
CSW会期直前、米国YWCAとその社会貢献組織である「世界奉仕委員会」(World Service Council)は、ニューヨーク市のイェール・クラブでレセプション・パーティを主催し、YWCA代表団全員を招待しました。この刺激的なイベントでは、世界中から来た女性たちが集い、繋がり合い、それぞれの活動やCSW62に対する期待について話し合いました。
歴史上初めて、CSW期間中にブルックリンYWCAのオフィスを会場にして、ブルックリンYWCA、米国YWCAそして世界YWCAが共催し、若い女性のためのディナー会を持ちました。ディナー会では、若い女性がそれぞれの活動や、リーダーシップを獲得するためのこれまでの道のりについて共有する機会がありました。

最優先課題の一つである性と生殖の健康と権利(SRHR)
#SheDecides(女性の、特に身体の自己決定権の保護・促進を求めるキャンペーン)のリーダーとして、マラヤ・ハーパー総幹事と共に、スウェーデン出身のディーコ・フセイン(Deeqo Hussein)とロラ・アフマド(Lola Ahmed)が、オーサ・レグネール(Åsa Regnér)前スウェーデンジェンダー平等大臣・現UN Womenの事務次長主催のレセプションに出席しました。レセプションでマラヤ、ディーコ、ロラの3人は、重要な政策立案者や他の#SheDecidesリーダーに出会い、CSW62期間中、SRHRに対する問題提起を若い女性が行うことの重要性について語りました。

若い女性に重点を置くこと
世界YWCAの新しい方針に従い、今年のCSWでは、若い女性の関与をなお一層強調しました。若い女性の代表団がつながり合い、最も懸念している課題に取り組めるよう、CSW期間中に世界YWCAは若い女性のトレーニングを実施しました。トレーニングでは、代表団にCSWの協議プロセスと世界YWCAの新しい方針について情報提供しました。
またトレーニングでは、CSW62会期中に、優先課題として若い女性の代表団が声をあげたいと思う課題を考えることに時間を割きました。YWCAの若い女性の代表団は、米国の厳しいビザ規制を強調し、「多くの女性が米国への入国を拒否されている時に、国連はどうして同国でのCSWの開催を正当化できるのか」ということに焦点を置くことに決めました。そして、同じ週に若い女性の代表団が結集し、CSWタウンホールミーティング(政治家と市民の対話の場)でアントニオ・グレーテス(Antonio Guterres)国連事務総長にその質問を投げかけました。


若い女性たちがグローバルな「RiseUp」リーダーシップ・ガイドブックを立ち上げました

ネパール、パプア・ニューギニア、サモアYWCA出身の若い女性がグローバルな「RISE UP!」リーダーシップ・ガイドブックを立ち上げたという点で、CSW62は世界YWCAにとって記念すべき時となりました。このガイドブックは、オーストラリア政府外務貿易省が世界YWCAの若い女性リーダーを支援し、それぞれの地域における活動をベースにしたグローバルなマニュアルを共同制作したことを発端に制作されました。
グローバル・ガイドブックの作成に貢献した3人の若い女性リーダー、ネパールYWCAのニマラ・グルング(Nirmala Gurung)、パプア・ニューギニアYWCAのナオミ・ウォエング(Naomi Woyengu)、そしてサモアYWCAのソリ・ウィルソン(Soli Wilson)が立ち上げイベントの実施を率いました。マラヤ・ハーパー総幹事と、オーストラリア政府外務貿易省のジェンダー平等に関する主要部門専門家のエイミー・ハダド(Amy Haddad)も参加し、リーダーとして若い女性の声をどのようにサポートすることができるか、について議論しました。

YWCAが主催した多様なイベントについて
CSW62会期中には、いくつかのYWCAがさまざまなテーマで独自にパラレル・イベントを主催しました。
・「テクノロジーやイノベーションを使用して、農村・都市間の情報格差を埋めよう」(米国YWCA/カナダYWCA)
・「第13回国際ヘルヴィ・シピラセミナー:変化する世界における農村女性について」(フィンランドYWCA)
・「農山漁村コミュニティにおけるジェンダーを基にした暴力防止と児童婚の終焉に関する宗教指導者間対話」(ケニアYWCA)
・「パレスチナにおける農村のエンパワメント手法としての職業訓練と政策改革の融合について」(パレスチナYWCA)
・「若い女性の視点から見た日本の「ジェンダー平等」政策」(日本YWCA・アジア女性資料センター共催)
・「女性の貧困を終わらせるためのジェンダー平等キャンペーンの加速」(ナイジェリアYWCA)
・「#She speaks:若い女性のリーダーシップを強化する」(オーストラリアYWCA)
 

CSW派遣期間中、日本YWCA代表団は日々の出来事をまとめ、Facebookで共有していました。以下は、その報告記事の一覧になります。
1日目:3月8日
2日目:3月9日
3日目:3月10日

4日目:3月11日

・5日目:3月12日

6日目:3月13日
7日目:3月14日
8日目:3月15日
9日目:3月16日
10日目:3月17日

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YWCA(ワイ・ダブリュー・シー・エー/Young Women's Christian Association)は、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。
1855年英国で始まり、今では日本を含む100以上の国・地域で活動しています。

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