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世界YWCA声明「ガザにおけるジェノサイドと女性と子どもへの影響について」

YWCAは、1855年に始まり100か国以上で活動する国際NGOです。正義とジェンダー平等を実現し、暴力・戦争のない世界をつくるため権力構造を変革することを目指しています。

イスラエルによるガザ地区への攻撃について、世界YWCAが発信した声明文の日本語版を紹介します。


何十年もの間、世界は、いくつかの国に対し、また罪のない市民を脅かす悪質な戦争や大量虐殺を目撃してきました。これらの戦争は人道的危機を引き起こし、何百万人もの人々を住居を追われた状態にし、貧困に陥れ、世代を超えたトラウマを生みだします。このすべては、権力を握るごく少数の者の決定によって引き起こされるのです。このような戦争は、常に女性に最も大きな影響を及ぼします。女性たちはすでに不利な状況に置かれていることが多く、戦争はその上で彼女たちの状況をさらに悪化させます。私たちは、アフガニスタン、アルメニア、イラク、シリア、ハイチ、多くのラテンアメリカ諸国など、世界中の多くの国々でこのような状況を何度も目にしています。世界最大の女性運動の一つとして、私たちの集団的使命は、女性、特に若い女性をエンパワーし、権力構造を変え、正義とジェンダー平等、そしてすべての人の尊厳と自由が保証された暴力や戦争のない世界を創り出すことです。

ガザとイスラエルの状況は私たちに、女性として、そして運動として、私たちの使命を認識し、その実行のために行動することを求めています。世界の自由な市民として、若い女性として、そして女性として、私たちはガザに対して行われているジェノサイドと、大国が沈黙を続けることで人類に対する破壊的な計略が実行されていることに深い懸念を表明します。

1948年以来、パレスチナの人々は、近代史上最も極端で長期にわたる軍事占領に直面してきました。複数の国連決議が出されながら、実行には移されていません。複数の和平協定が立ち上ったものの、成功したものはありません。これらの失敗した決議や和平合意は、パレスチナ問題の根本原因を解決せず、帰還の権利や独立国家樹立の権利などパレスチナ人の基本的な権利を実現していません。持続可能な正義ある平和は実現していないのです。こうして、中東では罪のない一般市民が命を失い続けており、中でも女性と子どもが最も被害を受けています。

10月上旬以来今日に至るまで、ほぼ18年間ガザを完全に封鎖し続け、ガザに住む220万人が、ほとんどの理性的な人々が「手に負えない非人道的な状況」と呼ぶだろう、貧困レベルが60%を超える状況で生活している状態の中で、イスラエルは超大国の支援を受け、ガザに対して明白なジェノサイドを行っています。女性の性と生殖に関する健康も大きな悪影響を受けています。例えば、避難所での生理用衛生用品の深刻な不足、避妊へのアクセスの欠如、定期的または緊急の産科医療へのアクセスの制限または欠如、妊娠している女性たちのための適切な分娩および分娩後のための医療や保護がなく、何とか自力で生き残るか路上で命を失うしかないという状況です。

イスラエルは、占領者であることを認めず、自衛権を主張しています。 イスラエルは、白リン弾やその他の禁止された兵器で民間人を攻撃し、12,000人以上(その60%は女性と子ども)を殺害してきました。イスラエルは、ガザの教会、モスク、学校、病院、インフラを空爆し、ガザ住民が電気、燃料、水を得られないようにし続けています。

パレスチナYWCAからの最近のメッセージで共有されているように、パレスチナ人への戦争の影響は、4,100人以上の子どもと2,600人以上の女性が殺され、女性と子どもに最も壊滅的な打撃を与えています。

何百万人もの人々がそれぞれの国でデモを行い、停戦と、あり得ないと考えられていたレベルを超えてエスカレートした人道危機に対する国際的な救援対応を求めています。 権力者たちの行動は、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する国際条約に反しています。

世界最大の女性運動の一つとして、私たちは世界の市民と各国連加盟国に対し、女性・平和・安全保障に関する国連安全保障理事会決議1325(2000年)を想起するよう呼びかけます。同決議は、武力紛争が女性と子どもに最も不利な影響を与えることを認識し、保護と戦後および紛争解決に関与する女性の権利を認めるものです。

1948年以来、戦争と占領の被害は、中東地域の何百万人もの女性と子どもたちに直接的な影響を与えました。彼女たちは家を失い、保護もなく、現在の状況では、行くべき安全な場所も存在しない状態です。イスラエルはガザの北部全域に退去を命じ、人々が南部に移動する間も、イスラエルは爆撃を激化させています。ここ数日間で、1,500人以上の市民が爆撃によって焼かれ、殺されており、その大半が女性と子どもです。

裏を返せば、人道的努力と位置付けられた退去命令は、何の救済ももたらすものではなく、ガザの人々にとって危険と混乱を増大させるだけのものです。

1920年、スイスのシャンペリーで開かれた世界YWCAの世界委員会は、次のような平和宣言を行いました。「あらゆる国の女性を含む世界YWCAは、戦争を回避し、平和と国家間のよりよい理解を促進するために活動しているすべての勢力を強化するような、国際問題に関する世論の発展に力を尽くす」。

それ以来、YWCA は紛争と紛争後の場において、1 世紀以上にわたってリーダーシップを発揮し、世界的なYWCA運動は、家庭、地域社会、国、地域、そして世界における平和と正義のビジョンに向けた決議を次々と採択してきました。

世界 YWCA は、すべての YWCA と指導者に対し、以下の緊急行動をとるよう要請します。

  1. 自国の政府と権力者に対し、それぞれの要求を満たす外交的手段を追求し、ただちに停戦し、人道援助と燃料がガザに入ることを認めるよう求めること。
  2. これ以上の残虐行為が行われる前に、戦争犯罪やジェノサイドを防止し、保護する義務を履行するよう、それぞれの政府や権力者に要求すること。
  3. 自国の政府と権力者に対し、民間人や、学校、病院、避難所などの基本的なインフラ、そしてすべての民間インフラへの空爆、とりわけ禁止されている武器による空爆を中止するよう要求すること。
  4. イスラエルによる占領を終わらせ、パレスチナの歴史的な土地に自分たちの国家を建国するための主権がパレスチナの人々に認められる公正な解決に向けて、積極的かつ確固とした措置をとるよう、それぞれの政府や権力者に求めること。

原文:英語(世界YWCAウェブサイト

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YWCA(ワイ・ダブリュー・シー・エー/Young Women's Christian Association)は、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。
1855年英国で始まり、今では日本を含む100以上の国・地域で活動しています。

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