沖縄慰霊の日＜機関紙6月号ピックアップ＞
ユースが伝える「沖縄の声」
日本YWCA機関紙2025年6月号はこちらでお読みいただけます。
祖父母が語った平和への願いを胸に
徳田 彩（沖縄YWCA会員）
沖縄には、美しい海、温かい人々、そして独自の文化など、たくさんの魅力があります。しかし同時に、沖縄には多くの米軍基地が存在するという現実もあります。日本にある米軍基地の約70％が沖縄に集中しているのです。私はそんな米軍基地のすぐ近くにある街で生まれ育ちました。
80年前、アジア太平洋戦争では沖縄で激しい地上戦が行われ、多くの市民が命を落としました。私の祖父母の世代は、「戦争は絶対にしてはいけない。平和な世界を築いてほしい」と繰り返し語ってきました。私もその言葉を胸に育ちました。しかし現実に目を向ければ、戦争のための軍隊がすぐそばに存在し、フェンスで囲まれた基地が日常に溶け込んでいます。学校では「平和」を学んできたのに、実際には戦争と隣り合わせのような環境に違和感を覚えてきました。
米軍機の騒音は一日中鳴り響き、会話すら聞き取れないほどの爆音が私たちの生活を脅かしています。米軍機の墜落事故も繰り返され、多くの人が被害を受けてきました。さらに深刻なのは、米兵による性犯罪です。1945年以降、報告されているレイプ事件は1000件を超えるとも言われており、最も幼い被害者は生後９ヶ月の赤ちゃんでした。
私が育った沖縄では、平和や安全は当たり前のことではありません。沖縄県民は80年間、声を上げ続けてきましたが、いまだにこの現状は大きく変わっていません。私は、「基地があるのが当たり前」になってはいけないと強く思います。そして、私たち若者が、自分たちの未来のために声を上げ続ける必要があります。
祖父母が語ってくれた「平和への願い」を胸に、私はこれからも沖縄の声を発信し続けたいと思います。
恐れず、諦めず、声をあげ、行動しよう！
松田 明（沖縄YWCA会員）
沖縄の大地は、二度と戦争を起こしてはならないと語りかけてきます。それなのに、戦後80年経っても人間を殺す訓練が行われています。沖縄の人間は、自らの意思でこの大地を人殺しの訓練をする場所に提供したことはありません。奪われた土地に多くの軍事基地が建てられ、人や自然、平和が壊されていく様を見せられ、少女や女性は人に言えない傷を負わされ、美しい空に戦闘機が飛び交い、命の海は命を奪うために埋められています。その痛みの声は、平和を求める声は、権力や無知無関心によって無視されています。
それでも沖縄は声を上げ続けています。おじーおばーも、私たち若者世代も。何度無視されても平和を諦めないこの沖縄の声を一人でも多くの人に知ってほしいのです。
知ることはすべての始まりです。知ることで、取り組むべき課題やなすべき行動を考えることができます。現実を変えるのは行動です。戦争の足音が少しずつ大きくなっている今、どうか平和のために行動してください。大きなことでなくても、例えば家族や友人と戦争について話し合ってみる。資料館や戦跡に行ってみる。そして何よりも「自分たちの命を守るためには武力が必要」という社会の声に疑問を持って、声を上げることを恐れないでほしい。あなたの行動が、一人ひとりの行動が未来を変え、平和の歴史を作るための一番のキーです。私たち人間は時に愚かで残酷です。しかし同時に愛と優しさ、そして相違を理解しようとする心、現状を良くするために考える知性を持ち合わせています。もう戦争の歴史を作るのはやめましょう。戦争を始め、行うのは人間です。そして戦争をしないと決めることができるのも、私たち人間なのです。
