2Aug

パレスチナYWCAによる、女性の就労支援と、難民キャンプにおける幼稚園の運営を支援しています


「世界祈祷日」は、1887年にアメリカの女性たちが移住者や抑圧されている人たちを覚えて始めました。その後、2度の世界大戦を経験し、和解と平和を求める祈りへと教派を超えて広がりました。「知ることから祈りへ、祈りから行動へ」と、現在では、世界祈祷日国際委員会(WDP)が中心となり、世界中で 毎年3月第1金曜日に「世界祈祷日」が守られています。「世界祈祷日」の献金はWDPを通して式文作成国の女性たちの活動のため、国内外の女性たちの働きのためにささげられます。

日本YWCAは、この世界祈祷日献金を用いて、パレスチナYWCAによる、難民キャンプにおける幼稚園運営と、パレスチナ女性の就労支援事業を支援しています。
今年2021年5月には東エルサレムのシェイク・ジャラ地区に住むパレスチナ住民に対する立ち退き命令を発端とし、連日多数の死傷者が出る事態となりました。(詳細)言うまでもなく、発端となったイスラエル治安判事裁判所による立ち退き命令は国際法違反であり、基本的人権の侵害行為です。依然としてイスラエルの軍事占領下にあるパレスチナにおいて、また難民キャンプにおいても、パレスチナの人々のは生命の危機はもちろん、生活を破壊し、心身への深い影を落としています。

そのような状況において、女性と子どもに対する心理的・経済的支援は命や生活を守るために重要な役割を果しています。弱い立場に置かれた子どもや女性の権利を守るために、パレスチナYWCAが行う事業の様子についてご報告いたします。


パレスチナの女性に対する就労支援
パレスチナYWCAは最も周縁化された地域で、女性たち、特に若い女性たちをエンパワーすることを目的に掲げています。パレスチナでは構造的な暴力のために、教育や就労・経済活動の機会が限定的であり、その中で、女性たちが雇用と収入を得ることができるよう、スキル取得を目指した研修を実施しています。スキルの獲得と同時に、女性たちに自身の権利について伝え、またジェンダーに敏感な経済政策を促進するためのアドボカシー・トレーニングも実施しています。経済的にエンパワーされた時、女性たちが社会的・政治的にも力を得ることが長い経験上明らかなことからも、この女性の経済的エンパワメント事業が有意義であると考えています。
2020年度も、パレスチナYWCAは、ベツレヘムとヘブロン地区において100人の女性起業家の業務成果を向上させ、収入を増やすため継続的な支援を行いました。必要な設備の提供や業務パフォーマンスの向上により、製品の品質や生産・販売プロセス全体を向上することに繋がりました。以前パレスチナYWCAが研修を実施した若手コーチが主導になり、女性たちにビジネスに関連した技術支援やコーチングを実施しました。
また、女性たちを対象に、オンラインツールを使ったキャパシティ強化研修も実施しました。パレスチナYWCAとしては前例のなかったことですが、ガザ地区に住む若い女性にもリーチすることができ、結果的にオンラインでの仕事の雇用や企業の促進に繋がりました。
さらに、経済的なエンパワメントが社会参画に繋がったという若い女性の証言もありました。女性たちは成果・収入向上を目指すトレーニングの受益者となるばかりでなく、アドボカシー・キャンペーンにも参加し、声を上げ、自らにとって重要な課題を行政機関と交渉しています。

パレスチナYWCA主催の経済的エンパワメント事業に参加した多くの若い女性が、事業成果と収入を向上させてきましたが、「Myriam Services」を共同設立したベツレヘム在住の24歳の女性、ダリア・ラマダンさんもその一人でした。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、女性たちにSNSを通じて商品を販売するマーケティング手法を提供する起業家のためのトレーニングに参加した後、ヨルダン川西岸の小さな流通会社を成長させました。毎月10〜15件の小規模プロジェクトを手がけるMyriam Servicesは、他の起業家と同様に、ダリアさんの一生をかけたプロジェクトとなっています。
さらに、ダリアさんは若いビジネスコーチとしても活躍しています。地域の協同組合を支援したり、女性が経営する小規模ビジネスの会計や経営、マーケティング戦略を支援しています。

経済的なレジリエンスを強化し、若い女性の市民参加を促進する
ヘブロン行政区の若い女性の失業率が上昇していることを受け、自治体やコミュニティ評議会と協力して、同地区160人の若い女性の経済的レジリエンスと市民参加を促進するべく事業を実施し、良いガバナンスやビジネス・マネジメントなどに関するキャパシティを強化しました。また、主要なステークホルダーが参加する運営委員会を設置することで、彼女たちの民主的な意思決定やオーナーシップ、持続可能性を確保するようにしました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、この女性たちは当初の目的を中断し、同地域社会で最も弱い立場にある人々のニーズと権利を保護するために、緊急行動も起こしました。



職業訓練センターで若い女性をエンパワーする
ラマッラーとエルサレムにある職業訓練センターでは、長年実施してきた若者の経済的エンパワメントを目指す取り組みを強化しました。2020年の1年間で、573人の若い女性を含む825人以上の若者が、卒業証書や短期コースを取得しました。さらに、ジェンダー平等や女性の権利など、市民参加の上で重要な課題に関する知識も獲得しました。
どのように実現したのか。コロナ禍において、職業訓練センターでの教育に関するあらゆるプロセスに新しくデジタルツールを導入し、入学した学生が継続して学習できるようにしました。さらに、民間企業や非政府組織と提携することで、インターンシップを求める企業や組織と雇用機会を求める学生を結びつけることができました。
研修生の中には、新型コロナウイルス感染症拡大により経済的影響を強く受けている人もいました。パレスチナYWCAは社会的責任を果たすべく、経済状況が悪化している研修生を率先して経済的に支援しました。少ない費用でも教育を受けられるよう、奨学金や、従来の9カ月間のコースに代わる短期コースを提供しました。



自立した女性主導のビジネスを通して、女性の経済的主体性を高める
ジェリコでは、パレスチナYWCAの食品生産ユニットの成功体験をもとに、20年以上にわたり地域の人々が経済的に自立できるよう活動を行っています。2020年には、新型コロナウイルス感染症拡大により売上は減少しましたが、女性と男性の両者にとって、適正な雇用と思いやりのある職場環境を整えました。
女性主導のビジネスが自立できるよう支援してきた経験から、2020年は活動の範囲を広げ、女性や障がい者を中心とした食品生産分野の低所得起業家23名への支援を強化しました。具体的には、ジェリコとヨルダン渓谷州にある13の協同組合と慈善団体への支援を行いました。
起業家たちは、オンライン・マーケティングの能力を強化し、ビジネス計画を作成しました。ビルゼイト大学の継続教育センターで中小企業経営の卒業資格を取得するにまで至り、商品の品質向上や、販売のための物理的なスペースを確保するための資金も調達できるようになりました。さらに、パレスチナYWCAの方法論に沿って、経済的権利とジェンダー平等に関する継続的なコーチングと啓発セッションを受けました。



子どもに対するケアと女性の収入を保証する パレスチナYWCAにより運営されている幼稚園では、子ども達が暴力やストレスから離れ、リラックスして時間を過ごすことができる環境をつくることを大切にしています。
ヨルダン西岸地区のジャラゾン難民キャンプ、そしてアクバット・ジャベル難民キャンプにてパレスチナYWCAが運営している幼稚園では、115人の子どもたちが健康で安全な学習環境を楽しんでいます。2020年度は、スピーチが必要な子どもたちをスピーチのスペシャリストがサポートしました。オンラインツールは、対面での活動が不可能な場合に、教育に関するプロセスの継続性を担保するのに役に立っています。
女性がケアワークを担いつつ、家庭外での労働も期待される二重の役割が課せられている国において、子どもを幼稚園に預けるということは、女性が労働市場への参入に専念し、収入を確保できるようになることを意味しています。
幼稚園が必要としている具体的な備品設備については、動画でご報告しています。

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