15Nov.


世界YWCAから:ケニアの思春期の少女たちと10代の母親をエンパワーする。

ケニアでは、2001年児童法(the Children’s Act of 2001)により、18歳未満は誰でも、健康への権利と医療を受ける権利があります。性と生殖に関する健康のサービスは、若い女性の健康と幸福に不可欠な要素なので、政府は思春期の少女たちに、性と生殖に関する健康の適切なサービスを確実に提供する義務があります。なぜならば、思春期の少女たちは若年妊娠、危険な中絶、HIVやその他の性感染症(STI)といった、性と生殖に関連する病気や死亡の危険性が高いからです。少女たちは、性交の際に感染しやすく、また妊娠合併症の危険性もより高くなります。ほとんどの思春期の少女たちが、性行動の危険性や、感染や妊娠の防ぎ方を知りません。危険性の要因には、初めて性的関係をもった年齢の多寡、性的パートナーの数の多少、コンドームや避妊具の使用の有無などがあります。

ケニアの初婚年齢は時代とともに上がっていますが、早婚(18歳未満での結婚)は違法でありながらいまだによく見られます。特に農山漁村地域と都市部のスラム地域で顕著です。ケニアの若年出産の多くは、正式に結婚している夫婦の間で見られます。女性の半数は20歳までに結婚し、そのうち26%は18歳ですでに母親になっているか、妊娠しています。(ケニア統計局、国際生活機能分類-国際障害分類改訂版、2010年)

ケニアYWCAは思春期の少女たちを対象に「通学している少女とそうでない少女を性と生殖に関する健康、リーダーシップ、および経済的エンパワメントのトレーニングを通じてエンパワメントする」というプログラムを推し進めています。このプログラムは、人口協議会の資金提供を受けて、ネリー・ルカレとエドウィン・マコハというケニアYWCAの2人の若い女性が運営しています。ケニアの家庭では、子どもと大人が性に関する話をすることは今でもタブー視されているので、子どもたち、特に女の子は、友達から性について学びます。性と生殖に関するトレーニングは、性とライフスキルに関する適切な情報を少女たちに発信して、性的弱者になる可能性を減らすことを目的としています。ライフスキル・トレーニングは、意思決定、感情のコントロール、交渉、コミュニケーションスキルです。経済的エンパワメントのトレーニングは、貯蓄、投資、最終的には事業の立ち上げの手助けをすることに焦点を当てています。少女たちが金銭目的の性的関係に依存したり傷ついたりすることを減らし、実践的なスキルを身につけることによって思春期から大人への成長が容易になります。

少女たちが学校を退学すると、正規の教育を受けられず、性に関する詳細な情報を得たうえでの決断ができないので、社会的に弱い立場に追い込まれます。さらに、早婚、10代の妊娠、望まない妊娠、性的虐待や搾取、金銭目的/年の離れた性関係、ジェンダーに基づく暴力などの被害を受けます。10代の妊娠は、ケニアの少女たちの主な退学理由の1つです。少女たちが若くして結婚し子どもを持つと、勉強を続けられなくなるため、人生の選択や職業の選択の幅が狭まります。母親とその家族にとって経済的な機会がほとんどなくなり、子どもたちの健康や教育の可能性を一生左右することになるでしょう。ケニアの思春期の女性の出産率はこの20年で減少しているものの、15歳から19歳の女性1000人あたりの出生数は依然として100を超えています(ケニア国家統計局および国際生活機能分類2010年)。妊娠や出産に伴う合併症が15歳から19歳の女性の死亡の最大原因です(ケニア人口保健調査2009年)。性に対して積極的な若い女性の多くは診療所で屈辱を味わったり、世間の非難を受けたり、家族の恥と見なされます。思春期の若者が情報とサービス両方にアクセスできるよう、コミュニティがより積極的に関わることが必要と考えられます。

妊娠に関連した中途退学がケニア全体の問題となっています。妊娠するとほとんどの場合、女子生徒は危険で不法な中絶に頼らざるを得ないか、退学を余議なくされます。妊娠のために中途退学した女子生徒は通常、出産後に復学して卒業することができず、そのため社会経済的に自立する機会が制限されます。ケニア政府は性行動に伴う結果や責任について思春期の若者に教えるため、学校の教科に家族生活(ファミリーライフ)教育プログラムを組み込んでいます。それでも女子生徒の妊娠率が高いことは、こうした教育プログラムがまだ不十分であり、教育政策は女子生徒の妊娠を少なくするだけではなく、妊娠した女子生徒が学業を全うするための支援も目指すべきであることをうかがわせています。

また、若者に関する研究やプログラムでは、思春期の若者が全てひとくくりに捉えられがちで、年齢やジェンダー、既婚か未婚か、就学中かどうか、あるいは社会背景による違いが考慮されていません。思春期の男女とも10歳から19歳の間に、身体的・社会的に急激な変化を経験します。しかし12歳の女子の変化やニーズは18歳の男子とは大きく異なります。若い女性が頻繁に身体的・社会的侵害を受けている現状では、彼女たちに効果のあるプログラムが即必要です。

途上国の学校教育では、女子であることは不利です(Lewis. M and Lockheed M. 2006)。女子に教育を受ける意欲と権利があっても、多くは早婚によってこの権利が否定されます。時には家庭の経済状況が娘の就学を左右することがあります。つまり、一般的に娘は早く結婚するので、家族は息子の教育に投資するほうを選ぶのです。

早期の性的初体験を助長する宗教的信仰や、メディアによるマイナスの影響を転換させるのは、難しいこともありますが、ケニアの教育プログラムでは、性と生殖に関する健康の問題について、コミュニティが抱いているマイナスの文化的概念を変えること、若い女性たちが知り合える安全な場所を確保して社会的孤立を減らすこと、新しいスキルや情報を提供すること、望まない妊娠を減少させること、性と生殖に関する健康についての誤った情報を正すことに重点を置いています。


原文:世界YWCA記事(2013年9月23日掲載)
http://www.worldywca.org/YWCA-News/World-YWCA-and-Member-Associations-News/Empowering-Adolescent-Girls-and-Teenage-Mothers-in-Kenya
編集責任:日本YWCA
翻訳協力:日本YWCAコモン・コンサーン翻訳グループ(浅原由美・加藤美恵子・黒木聖司・古賀佳子・今野菊代・芝田貞子・林加奈・宮坂浩美・山高万寿子・横山雅代・吉田亜希)

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