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128号 December 2005 日本語版 抜粋
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目次

はじめに
今、地球上では(アメリカ/ニュージーランド/スリランカ/フィンランド)
150年の若さを祝して
特集:母性:生命とその維持の象徴
変革を導く:若い母親を守るために
Take Action:母親が社会を支える
活動する若い女性たち:仕事と家庭の両立
HIV/AIDS最新情報


特集
母性:生命とその維持の象徴

世界教会協議会(WCC) コーディネーター アルナ・ニャーナデイソン


「母性」という言葉が強調するものは女性の持つ関係を築く能力で、これはフェミニストの言うケア倫理の中心となるものです。母性は相互依存の力強い象徴であるとともに、生命を維持していくために必要な勇気のシンボルでもあります。母性は、人間性とは切り離すことのできない万物との絆、そして人間同士の絆を肯定するものです。

けれども、私たちは母性を家父長制的イメージから「解き放たねば」なりません。そのためには、母性に対する従来の認識を壊し、そこに新しい意味を与え直さなければならないのです。それは、この地球を癒すための精神的・政治的・対人的な取り組みに力を与える新たな資源開発としての意味です。これまで女性運動において母性についての積極的な見直しはされて来ませんでした。母性が女性を従属的な立場に繋いでいるものと考えられてきたからです。数年前にインドのバンガロールで開かれた小さな会議での男性同僚たちとの対話を思い出します。ミーティングの中で、私たちは「母親についてどう思いますか?」と尋ねられました。参加したどの男性も、自分たちの母親が果たした「忍耐と犠牲と長い苦しみに満ちた」役割について深い感謝の念を語りました。そのなかには家庭内暴力に直面していた母親さえいたようでした。しかし私たち女性にとっては、たしかに母親は勇気と忍耐と同情の象徴ではあったものの、彼女らが不公正や暴力にひたすら耐えてきたことに対する怒りともどかしさがありました。男性のように、母親が長期にわたる苦しみに耐え忍んできたことに価値を見出すことはできなかったのです!

家父長的な家族構造の中で母性は美化される傾向があります。女性の無償の愛とセクシュアリティは理想化され、女性の時間や空間や活動を制限するために利用されます。家父長制において母性は、女性の権利や尊厳を貶め、女性のセクシュアリティや創造性を規制する役割を果たしているのです。女性の生産性はセクシュアリティの象徴としてメディアに“利用”されたり、経済優先の社会の中で無報酬の労働力として搾取の対象になっています。女性のセクシュアリティは家父長制の中で男系の血筋を維持するために子どもを産む目的に利用されています。そのため、子どもを産むことのできない女性や産まない女性は逸脱者とされ、社会の中で差別を受けたり虐待されることもあります。


 

女性のセクシュアリティ・生殖能力・創造的能力・母親としての役割を家父長制の支配の下から取り戻さなければなりません。母性には従来考えられていた以上の意味があるからです。母性とは単なる生物学上の役割ではないのです。それは育成と保護の力強いシンボルです。生物学的な意味で母親であるか否かにかかわらず、女性は社会の中で母親を意味する「amma」や「ma」などの敬称を与えられ、それは同時に特権と責任を意味することが少なくありません。インドには地母神を崇拝する習慣があります。地母神は、前アーリア期やそのほかの時代の古い宗教において純潔・母・生殖の象徴です。母とは創造性・再生・維持を意味し、女性のセクシュアリティや身体がコミュニティの生命と維持の象徴でもあるのです。


近年、多くの女性著述家たちが地球の資源を守るための原点となるのは母性の力であると改めて表明しています。母性は、生命を産み出すことと生存のために生産することを結ぶ象徴的、また現実的なかなめ要です。それはまた、復元力と抵抗力として表れることもあるでしょう。母性は決して家父長制社会の中に縛り付けられるものではありません。母性の力は、その足かせから解き放たれたときはじめて発揮されるのです。

母性をもうひとつの倫理的価値として見直すことは、きれいな水や空気、燃料そして食料など必需品を求めて日々奔走している女性たちにとっての重要な関心事です。それは、女性と自然との本質的な関係を問うものであると同時に、女性が自分自身と家族の「生存を維持する」ことに携わり、更に地球とその資源を守る役割を担っているという事実を認識させます。伝統的に受け継がれてきた思慮深さが、利潤追求と経済成長至上主義に対抗する動きとして発展し存在し続けてきたことは、まさしくこの母性の生存本能によるものなのです。地球は私たちの母性を必要としているのです。

アフリカ系アメリカ人でエコフェミニストであり神学者のシャマラ・シャンツ・ライリーはアフリカの女性たちの伝統的な思慮深さについて述べるとともに、彼女等の地球を守る力量と、環境保護運動における積極的な政治行動に注目しています。ライリーは「アフリカ系アメリカ人のエコ母性主義者」についても述べています。彼女たちは「自分たちをフェミニストではなく、生きるために共に闘う母親と位置づける女性たちなのです。」(Snitow:1989,48)ライリーは続けます。「男性が不在のときや緊急事態が発生した際に、家父長制の下で女性が家の中で割り当てられた仕事をこなしているだけでは集団社会の存続が不可能になります。そのときに母性主義が台頭します。これまで女性たちは慣例的な仕事をさせられてきましたが、社会的に必要な役割を果たす人が欠けた場合に、母性主義者が政治的な勢力となっていくのです。」


 

母性に宿るケアの精神は女性たちの間によりいっそう求められています。その精神によって、地球とそこに住む人々を破滅に追いやるような支配体制に代わる、もうひとつの生命維持の選択肢を創り出す女性の力が生み出されるのです。

Shamara Shantu “Ecology is a Sister’s Issue Too:The Politics Emergent Afrocentric Ecowomanism”, Edited by Mary Heather MacKinnon and Moni McIntyre (Kansas City and Ward,1995)p.225.

(つづく)

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