本を読みませんか? あなたの明日のために,明日の世界のために!

◆YWCAおすすめの本です◆


浅子と旅する。 波乱の明治を生きた不屈の女性実業家 (フォレスト・ブックス)

中尾祐子/著
いのちのことば社 (2015/9/28)
1,296円


現在放映中の朝の連ドラのヒロイン「あさj のモデルは、知る人ぞ知る、大阪YWCAの創立準備委員長を務めた人、広岡浅子です。

事末から朋治、大正と、激動の時代を生きた実業家 広岡浅子は、「女子といえども人間だ。学聞の必要はないという道理はない」と考え、後半生を女子教育に献げます。その熱い思いは日本YWCAの当時の機関紙『女子青年会』にも多数残されています。そして、1912年から日本YWCAの中央委員を務めた浅子は、東洋のマンチェスターとも称された大阪の地にYWCAを設立することに力を注ぎます。残念なことに大阪YWCA創立の翌年、この世を去りますが、その精神は今も脈々と受け継がれています。

いのちのことば社の『浅子と旅する。』は、浅子ゆかりの人たちや出来事をとりあげつつ、読み進むうちに浅子の人となりがしっかりと見えてくる、読み応えのあるものになっています。特に、キリストに導かれ、人は神の前にみな等しい価値を持つとの確信を得るに至る浅子のこころの旅(変化)に注目です。

あなたもこの『浅子と旅する。』を片手に、浅子の生きた人生を旅してみませんか。(S.S.)

浅子と旅する。 波乱の明治を生きた不屈の女性実業家 (フォレスト・ブックス) 』を読んでみたい人はこちら



子どもの声を社会へ――子どもオンブズの挑戦 (岩波新書)

桜井智恵子/著
岩波新書
720円+税


子どもや親、先生をとりまく状況がゆとりをなくす中、時に言葉にならない思いを抱きながら子育てしている身にとって、本書には共感する記述が多い。

著者が関わる兵庫県川西市の「子ども人権オンブズパーソン」は、子ども・親・教職員等からの相談を受けて問題解決をはかる、公的な制度だ。さまざまな相談があるが、特徴的なのは、オンブズチームが、当の子どもの声によく耳を傾け、課題を整理し協議したうえで、子どもの意思を尊重しながら周囲の人間関係に働きかける点だ。一方的に問題を解決しようとしたり、個人に問題を帰したりせず、相互理解を丁寧に仲立ちしながら、解決を支援する。行政機関等に働きかけて、制度改善につながることもある。「子どもを中心に」関係を調整するこの方法が有効なのは、問題を抱えていた人が再び元気になり、力を発揮しだすことからも明らかだ。だが著者は、厳しい労働環境や競争の中で緊張状態にある大人が、子どもをますます追いつめている現在の社会構造にも言及し、「子どもオンブズ」に寄せられる「声」は「この余裕のなさをなんとかしてほしい」という子どもからの訴えでもあると指摘している。

私たちが今必要としているのは、人々が関係に支えられながら多様な力を発揮し合い、つながり合える社会のデザインではないだろうか。本書を多くの方におすすめしたい。編集部(A.N.)

子どもの声を社会へ――子どもオンブズの挑戦 (岩波新書) 』を読んでみたい人はこちら




風になる―自閉症の僕が生きていく風景

東田直樹/著
ビッグイシュー日本/発行
1429円+税


最近はさまざまな心身の状態を、心の病とか発達障害というように病気や障害として細分化することが増えた。生きにくいとかコミュニケーションがとれにくいという場合も、典型性を抽出して分類し、名前をあてはめて治療薬をためし、療法を編み出していく研究や対策が進んでいる。だが、人はひとりずついろいろな感じ方や考え方をし、異なった表現をする。「普通である」(それもできれば優位に)ということが声高になりがちな世の中で、生きにくいと思う人は多いはずだ。 一度でもそう思った人なら、この本と出会い、素直になって自らの心の声を聴くことができるかもしれない。人と対面では発語できない自閉症の青年が、文字盤を使って表現する心の内。それが『風になる』という題名通り、現代社会で気張ったり萎縮しがちな心に風を通してくれる。響いてくる箇所は人により、またそのときの気持ちにより異なるだろう。

-----(本文から)-----
「僕もコミュニケーションの手段がなかった頃は暗い洞窟に住んでいるように感じていました。(中略)どんなに叫んでも泣きわめいても僕の言葉は人の心に届くことはなく、ただ同情されるか注意されるかの毎日だったのです」 「少し気むずかしい人がいたり、泣き虫な人がいたりするのと同じように、自閉症者の障害も個性としてうけとめてもらえればいいと、そんなふうに考えます。ありのままの自分でいたいと願うのは、僕のわがままなのかもしれません。みんながそんなことを言えばこの社会は成り立たないでしょう。それがわかっているからこそ、ありのままの僕を受け入れようとしてくれる相手の優しさに触れた時、僕は未来に希望を抱けるのです。そして同じ時間を過ごす幸せに包まれるのです」 「ありのままの自分でいるというのは、成長するための努力をあきらめることではありません。今の自分にできる精いっぱいのことをやりながら、生きぬくことだと思っています」
--------------------

著者は幼い頃「抱っこ法」という療法の中で思い切り泣くこと、感情を出し切ることを体験した。母子ともに疲れ果てる時間だったろうが、泣けるだけ泣くと心が軽くなったという。筆談で最初に母に書いたのが「ごめんなさい」そして「ありがとう」。  (本書はビッグイシュー日本(ホームレスが販売者を務める雑誌)の連載をまとめたものである)

編集部(M.Y.)

風になる―自閉症の僕が生きていく風景 』を読んでみたい人はこちら




(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

堤 未果/著
岩波新書/発行
760円+税



「貧困大国アメリカ」シリーズ完結編の本書は、冒頭から驚愕の事実の連続だ。家畜工場の劣悪な環境で、大量の成長促進剤と抗生物質を投与され育つ牛豚鶏。遺伝子組み換え(GM)種子作物の市場支配。欠陥だらけの食品安全基準とGM食品表示義務撤廃。利益追求主義の巨大化した多国籍企業が、アメリカのみならず、すでに世界の多くの国の法律を企業寄りに書き換えさせ、消費者から安全な食の選択の可能性を奪い、健康への悪影響に関する情報を隠蔽している。

「食」だけではない。教育、医療、保険、公共サービスについても、「1%」の大企業と投資家の利益のために、「99%」の人々の生命の安全と尊厳、多様性が切り捨てられる「貧困大国」は、TPPなどの国際条約を通して、米国に追従する日本の、まさに明日の姿となるのではないかと感じる。

しかし著者は、世界的に加速するこのうねりに対峙する市民運動をとりあげ、最後にこう綴る。「この世に生まれ、働き、人とつながり、いのちに感謝し、次の世代にバトンを渡す。そんな、ごく当たり前の生活をすると決めた『99%』の意思は、欲でつながる『1%』とおなじように国境を越えてつながってゆく」。今はないもう一つの選択肢を未来につくっていくために、ぜひ今、手にとっていただきたい一冊だ。 (編集部E.K.)

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書) 』を読んでみたい人はこちら




3・11とチェルノブイリ法―再建への知恵を受け継ぐ

尾松亮/著
東洋書店/発行
1,800円+税



 2012年6月の「原発事故子ども・被災者支援法」成立から1年数ヶ月、さる10月に法運用のための基本方針が閣議決定された。同法は、放射能の影響は科学的には未解明だが、被災者の健康管理には万全を期すと定めて、その健康や生活の保障を約束したが、基本方針はこの法理念を骨抜きにし、被災者や被災自治体からの意見・要望を無視するものだった。

主な問題点は次の3つだ。1つは、支援対象地域を客観的に確定するための線量基準を定めず、対象地域を福島県内の33市町村に限定したこと、2つめは政府による新規の具体的支援策がほとんどないこと、3つめは被災者の「居住・避難・帰還」の権利のうち、「避難の権利」を保障する支援策が皆無に等しいことである。

この「支援法」が先例として参考にしたのが、1986年のチェルノブイリ原発事故後5年を経て成立した、通称チェルノブイリ法である。本書は、3・11後にチェルノブイリの被災者支援制度に関心をもった著者が、現地取材を含む調査によりまとめたルポ風の提言書である。現地の人々の経験に耳を傾け、歴史的経過に学んだ本書の筆致は柔らかく、明晰だ。チェルノブイリ法では追加線量1mSV以上の地域が支援対象地域となったこと、避難か居住継続かの二者択一ではなく、どちらも権利として保障したこと、保障は現金支援より医療・教育・食・住居など現物支援の方が役立つことがわかりやすくまとめられている。

「支援法」制定に関わった著者は、その中の被災者の「帰還権」があくまで「避難権」とのセットであり、強制されるべきではない点も明記している。支援の制度とはどのようなものであるべきか、あらためて考えたい方にお勧めしたい。 編集部(A.N.)

3・11とチェルノブイリ法―再建への知恵を受け継ぐ 』を読んでみたい人はこちら




秘密保護法は何をねらうか

著者: 臺宏士 清水雅彦 半田滋
出版社:高文研 (2013/12/6) ¥1,260


「見ワン・聞かワン・言ワン」の憲法犬ブッちゃんです。ついに特定秘密保護法が成立しちゃったね。 国が情報を一方的に秘密にして、市民が真実を知らされず、言論を統制された時代に逆戻りしないように、三人の著者によるこの本を読んで欲しいな!

 臺宏士さんは、ジャーナリストとしての視点から、取材・報道の自由について「潜入取材」が違法とされる可能性について懸念しているよ。与党は秘密保護法を日本版NSC設置法、国家安全保障基本法案とセットで、日本の安全保障の要となる法律と位置づけている。でも平和憲法を持つ日本の情報政策は米英のような軍事超大国の情報政策とは本質的に異なるべきで、戦後憲法によってようやく表現の自由が保障された日本のメディアが、戦争ができる「普通の国」のジャーナリズムとなってもいいのかなぁ?

防衛省・自衛隊の取材をしてきた半田滋さんは、秘密保護法制定の「大義名分」は公務員の情報漏えいを防ぐことだけど、制定の本当のねらいは、公安警察が脱原発や反戦集会などの市民活動を監視することにあるのではないか、と指摘している。それからもちろん、情報をコントロールしようとする行政側にとって、この法律はとっても都合がいいからだよね。

憲法学者の清水雅彦さんは、今回の秘密保護法案が上程されるまでの経緯を詳しく説明しているのだけど、NPO法人・情報公開市民センターが法案に関する情報開示を求めたら、開示された文書が「真っ黒」!いかにも危険な匂いがプンプン!でも墨塗りの文書から、実は官僚と警察が法案作成に大きな役割を果たしてきたことがわかってきた。日米の軍事部門からの要求に加えて、日本の「国家の安全」を守る組織として防衛省・自衛隊と外務省と警察庁の強化が進み、自らの活動を隠すために秘密保護法を望んでいる、と分析しているよ。

「何が秘密?それは秘密です」の特定秘密保護法は基本的人権を侵害するだけでなく、行政権に力が集中して三権分立をないがしろにし、日本国憲法の三大原理の一つ国民主権をも否定する、まさに憲法違反の法律だワン。でも、成立したからといってあきらめず、機会ある毎に廃止の声をあげ続けることが大切だよね! (K・B)


秘密保護法は何をねらうか 』を読んでみたい人はこちら




世界 2013年 12月号 [雑誌]

出版社:岩波書店 ¥840


私のお気に入りの雑誌は『世界』です。少し難しいけれど、ためになるからです。2013年12月号の特集は「暴走する安全保障政策」。その中でも、弁護士の川口創さんの「国家安全保障基本法は何を狙うか」は、お奨めです。

先日、多くの国民の反対を押し切って、与党は強行採決で「特定秘密保護法案」を成立させました。急いだ理由の一つは、2014年の通常国会に出す「国家安全保障基本法」を何としても成立させたい!と考えているからではないでしょうか。秘密保護法によって、基本法に反対するジャーナリストや一般市民などを封じ込めよう、と。 さて、国家安全保障基本法案(概要)は、グーグルなどで検索すればすぐに入手できます。 http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-137.pdf

川口さんは、この基本法は「憲法破壊基本法」である、と書いておられます。集団的自衛権行使を可能にするだけでなく、自衛隊が海外で無制限に武力行使を行う道を開くものなのです。 川口さんは、条文で重要なところを説明しておられます。 例えば第2条(安全保障の目的、基本方針)の中の「未然に防止」という言葉からは、外国からの脅威に対して「先制攻撃」をも容認し得ること。第3条(国及び地方公共団体の責務)の「教育」からは、「愛国心教育を強めていく」ことに繋がることなどです。

第4条(国民の責務)は特に怖いと思うのですが、安全保障施策への協力義務が国民に課され、その結果、自衛隊の海外派兵に反対する活動などが処罰の対象になりかねない、ということです。 第5条(法制上措置等)では、基本法を頂点に違憲の法律が次々と作られ、軍事力を国家の中心に据えた新たな法体系が出来ること。第8条(自衛隊)には「治安の維持」という言葉が出てきますが、国民に対して自衛隊がその実力を行使する可能性も出てくるということです。 川口さんは、この基本法の概要は今から20年前に防衛庁が作った案と似ているので、今の世界状況に応じて作られたものではないことも指摘しています。

川口さんの結論部分を、そのまま引用します。 「国家安全保障基本法が成立すれば、憲法九条はもはやあってもなくてもよい、意味のない規定になり、日本は平和主義を放棄したことになる。これは国際社会にとっても大きな損失である。逆にアジアの緊張を加速度的に高めてしまうだろう。さらに、憲法を否定する法案を作ること自体、立憲主義の否定を意味し、各国からの信用も失うだろう。国家安全保障基本法を許し、憲法九条を無意味な規定にしてしまっていいのか。私たちは今、歴史的な岐路に立たされている」

本当に私たちは今、大切な岐路に立っていると思います。皆さんもぜひ「国家安全保障基本法案(概要)」と『世界』を読んでくださいね。 (T.K.)


世界 2013年 12月号 [雑誌] 』を読んでみたい人はこちら

1月号「情報は誰のものか」もおすすめ!→ 世界 2014年 01月号 [雑誌]




ハンドブック 集団的自衛権 (岩波ブックレット)


著者: 浦田一郎 前田哲男 半田滋
出版社:岩波書店 (2013/5/10) ¥525


お久しぶりです、ブッちゃんです♪読書の秋だね~。最近、「シューダンテキジエイケン」って言葉をよく耳にするね。ブッちゃんは憲法犬だけど、集団的自衛「犬」じゃなくて集団的自衛「権」だったんだね(^^;) ムズカシかったけど、頑張って3冊も本を読んでみたワン。
まずはハンドブック 集団的自衛権 (岩波ブックレット)でキホンのキをおベンキョーだよ。ブッちゃん、「集団安全保障」と「集団的自衛権」を混同してたけど、どっちも国際法の用語なんだね。第二次世界大戦後、国連憲章に武力行使禁止の原則が採用されて、それに違反する国に対して、国連加盟国みんなで対処するのが「集団安全保障」体制。でもって、国連の措置が取られるまでの間、例外的に加盟国が単独で、または同盟を結んで武力行使をしてもいいよ、っていうのが「個別的自衛権」と「集団的自衛権」なんだね。でもこの自衛権の考えは、これまで大国に都合の良いように解釈されてきたんだって。 日本政府も最初は憲法9条があるからって個別的自衛権も否定していたのに、国際情勢に応じてどんどん自衛権の解釈を広げていって、今の政権は日本がアメリカと一緒に軍事行動したり、海外で武力を行使したり出来るように、「今の平和憲法の下でも集団的自衛権の行使は可能」って、解釈をねじまげようとしているんだね。もちろん、本音は9条をまるごと変えて、日本を「戦争のできるフツーの国」にしたいんだよね。これってどうなんだワン??!!


集団的自衛権の深層 (平凡社新書)


著者: 松竹伸幸
出版社:平凡社 (2013/9/17) ¥777


次に『集団的自衛権の深層 (平凡社新書)』を読んだよ。この本は「自衛権」とは何か、大国がいかに冷戦期には侵略や勢力拡大のために、冷戦後は国家間ではなく”テロとの闘い”にも「集団的自衛権」を口実として使ってきたか、を詳し~く分析しているんだワン。面白かったのは、何で今の日本政府がこんなに集団的自衛権行使容認にこだわるのかってこと。筆者によると、①自衛隊の軍事能力が飛躍的に高まったから、②冷戦期よりも弱い「敵」が相手だから、③アメリカに対して「日本はこんなにアメリカに対してがんばってます」ということを示したいから、なんだって。武力を持ってるから使いたい、勝てそうだからイジメてやれ、アニキに認められたいから「この国のかたち」を変えようだなんて、ニンゲンってホント勝手だねぇ(-_-;) 最後の章では日本と世界の未来のための対案として、実際に侵略行為が起こったら日本は国際ルールにのっとって行動する、自衛隊の任務は非武装・丸腰の停戦監視任務に限定する、ってことが提案されているよ。何でもハンタイするばかりでなくって、日本もこうすればグローバルな平和に貢献できるよ!って対案を示すのは大事だワン。


集団的自衛権とは何か (岩波新書)


著者: 豊下楢彦
出版社: 岩波書店 (2007/7/20) ¥840


最後に、第一次安倍内閣の時に書かれた『集団的自衛権とは何か (岩波新書)』を読んだよ。この本も集団的自衛権の起源とその濫用の実態、集団的自衛権行使をめぐる日米のやりとりの歴史をとっても細かく説明してくれる。でも国際法や国際政治に弱いブッちゃんは、読みながら寝ちゃったこともあったワン(;_;) 何より問題なのは、集団的自衛権が「友・敵」の二分法を前提としていること。でも、アメリカにとっての「友・敵」はその時々で変わってくる。かつてアメリカは“テロとの闘い”でオサマ・ビンラディンを「敵の敵は友」と支援していたのが、いつの間にか反米テロの指導者というモンスターに変身したように、この二分法が「脅威の再生産」につながっている、という指摘に、なるほど~って思ったよ。この本も最後の章で「日本外交のオルタナティブ」を提案しているんだ。北朝鮮の核開発に対抗して日本も核武装するべきだという主張は、NPT(核不拡散条約)体制の崩壊をもたらして、アジアや中東の核武装化を招くことになる。それよりも、日本は被爆国として、北東アジアの非核地帯構想を提起するべきだよ、って。それから、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を訴えるけど、その「戦後体制」は、基地を押しつけられた沖縄の犠牲のうえに成り立ってきた。日本から植民地支配を受けたアジア諸国の痛みがわかる沖縄を、軍事戦略の拠点ではなく、北東アジアの平和戦略の「要石」とするようイニシアティブをとること、それこそが日本の目指す道なんじゃないかな、って☆ (K・B)


ハンドブック 集団的自衛権 (岩波ブックレット) 』を読んでみたい人はこちら

集団的自衛権の深層 (平凡社新書) 』を読んでみたい人はこちら

集団的自衛権とは何か (岩波新書) 』を読んでみたい人はこちら




日本国憲法前文お国ことば訳 わいわいニャンニャン版

勝手に憲法前文をうたう会/編  岩合光昭/写真

出版社:小学館 (2010/6/15) ¥1,890


どーも、ブッちゃんだよ。ツイッターのブルシェちゃんじゃないよ~(笑)憲法犬のブッちゃんですワン。

今日は『日本国憲法前文お国ことば訳 わいわいニャンニャン版』を読んでみるね。土佐で農家をやっている山猫母さんっていう人が、「日本国憲法を変えるかどうかは、国民の投票で決まる」ってことを知り、読んだこともない憲法を変えていいかどうかなんてわかんない~と思って、まず前文を読んでみたんだよ。そしたらまさに、「憲法の心」は全文にあるんだなぁと思ったんだって。でも、そのままじゃ漢字も意味も難しいから、自分のところのお国ことばで前文をわかりやすく訳してみませんか、って全国に呼びかけて、集まって出来たのがこの本だって。とても面白そうだワン。

まず山猫母さんの住む高知県の土佐弁だよ。前文二段落冒頭の「日本国民は、恒久の平和を祈願し」の部分は「わたしらあは、この先ずうっと平和でおりたいいうてこじゃんと強うに思うがです」だって。坂本龍馬が前文を読んだらこんな感じかもねぇ。次にブッちゃんは道産子だから、北海道はどこかな~、あ、あった。上川地方のことばだって。「おれらは、ずっと平和であってほしいって、なまら希望します」…ブッちゃんはシティドッグだから、「なまら」なんて使わないけど、まぁいいワン。最後にブッちゃんの大好きな平和的生存権「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」を、ウチナーグチ(沖縄語)で何て言うのかなぁ。「わったーや、世界中ぬちゅが、ぬーん恐れず、飢えるくとぅなく、平和な暮らしをする権利があいんと認めやびん」だって。「ぬちゅ」とか「びん」とか不思議な響きだねぇ。

日本国憲法の前文って、憲法の三大原理の国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を格調高く謳っていて、読んでいてほれぼれするよね。額に入れて飾っておきたいくらい。でも、それぞれのお国ことばで読んでみると、ちょっぴり近寄りがたかった憲法が、グッと身近に感じられるワン♪

あれ、ここまで写真が全部ニャンコばっかりだけど、もしかして「わんわん」ニャンニャン版じゃなくって、「わいわい」ニャンニャン版なの?ワンコは出てこないの?気にくワ〜ンo(`ω´ )oワンコの方が絶対めんこいのに…。よし、ブッちゃんがワンコ代表で平和的生存権を訳してみるよ。「地球上のワンコもニャンコも人間もみーんな、怖い目にあったり、食べ物や寝るところがなくて困ったりしないで、一緒に仲良く暮らす権利があるワン。これって当たり前のことだワンっ!」っていうのはどう?名訳っしょ!

2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故の後、たくさんのワンコとニャンコがパパやママと離れ離れになったり、路頭をさまよったりしたよ。これは憲法に緊急事態に関する規定がないからじゃなくて、こんなに素晴らしい憲法を政府がちゃんと守って、活かしていないからだよね。それなのに、憲法を変えようと言い出す人間がいるなんて、とても信じられないワン。みんなで前文だけじゃなくて、9条とか24条とか大事な条文をお国ことばで考えて広めたら、ワンダフルな憲法の魅力にもっと気づいてもらえるかもね!(K.B.)


日本国憲法前文お国ことば訳 わいわいニャンニャン版 』を読んでみたい人はこちら




憲法の力

平和憲法ネットワーク・やまぐち/編

出版社;日本評論社 (2013/4/19) ¥1,890


この本は、「平和憲法ネットワーク・やまぐち」という、安部首相のお膝元の山口県において地方発の護憲運動を展開している市民団体が主催した、憲法講演会の講演記録をまとめたものです。奥平康宏さん、高橋哲哉さん、ジャン・ユンカーマンさん、湯浅誠さんなど豪華な顔ぶれが、世界から見た日本国憲法、格差社会、安保条約、信教の自由と女性の権利など、多彩な切り口から憲法を論じています。

特に印象に残ったのは、高橋哲哉さんの講演の中に出てくる「戦争絶滅受合法案」という耳慣れない法律案です。これは、戦争が始まってから10時間以内に、①国家元首、②国家元首の男性親族、③総理大臣・国務大臣・官僚トップ、④男性の国会議員、⑤公然と戦争に反対しなかった宗教指導者が、最下級の一兵卒として最前線に送り込まれる、というユニークな内容で、この法律を各国議会が成立させれば、この世から戦争がなくなること間違いなし。表紙にはぜひ、浅葉克己デザイン、糸井重里コピーの「まず、総理から前線へ」の名ポスターを使用して欲しいですね。男性親族だけでなく女性親族も含めれば、戦時下の女性に対する性暴力や人権侵害を否定する政治家も口を閉ざすことでしょう。

高橋さんはまた、旭川にある北海道護国神社の慰霊大祭を見学した際に、公務員である自衛隊幹部や旭川市長が来賓として玉串を奉納していることに衝撃を受けたと書いています。さらに、護国神社の目の前には、陸上自衛隊旭川駐屯地に隣接して、靖国神社の遊就館のような「北鎮記念館」という施設があり、その新築移転のために公費が支出されたことを問題視しています。北海道に住む者としては、見逃せない事実です。

一見バラバラなこの本のトピックは、実は互いに深く関連し合っています。戦後、米国の言いなりのままに日本の軍備化は着々と進められ、今や「臨戦国家」となった日本。その最後の歯止めとなっている憲法9条が改憲の本丸であることは明らかですが、「戦争が出来る国づくり」はそれだけではありません。格差社会の拡大は、徴兵制をとらなくても志願兵の確保につながります。そうして戦場に送られ、犠牲になった者を神格化し慰める装置である靖国神社を国として後押しするためには、20条第3項の政教分離原則が邪魔になります。また、24条をなくせば、女性は自立した個人であることをやめ、天皇主権を支える「家族」という、家長を頂点としたミニ天皇制の中に埋没してしまう恐れがあります。

本書ではこうした流れに抗うために、9条の理念を世界に訴えていくことが必要であり、市民として自衛隊の改編、脱日米安保、「天皇制」ではなく「戦争放棄」を第一章とする市民憲法制定を目指すべきである、との提言も示されています。 東日本大震災復興支援試合の際に、楽天の嶋基宏選手が「見せましょう野球の底力を」と語ったように、今こそ「憲法の底力」を信じて行動することが求められています。 (A.Y.)


憲法の力 』を読んでみたい人はこちら




あたらしい憲法のはなし (小さな学問の書 (2))

童話屋編集部/編

出版社; 童話屋; 復刊版 (2001/02) ¥300


『新しい憲法のはなし』は、1947年(昭和22年)8月2日に文部省が発行した中学校1年生用社会科の教科書であり、1952年3月までの短期間使用されていました。本書は、1947年(昭和22年)に実業教科書株式会社が翻刻発行したものを底本とした、復刊本です。

憲法とは何かから始まり、日本国憲法の特徴など15項目にわたってイラストも取り入れ、わかりやすく説明しています。読みやすく、お子さんを交えてのご家族での話題としても充分利用できると思います。「人はだれも差別されずに平等であり、自由であり、幸せに一生を送る権利がある」と説く日本国憲法の基本を再認識し、憲法によって私たちがいかに守られているかを知ることになるでしょう。77ページの小本なので、短時間で読め、持ち運びも楽でありがたい一冊です。 (Y.U.)


あたらしい憲法のはなし (小さな学問の書 (2)) 』を読んでみたい人はこちら




いま、憲法の魂を選びとる (岩波ブックレット)

大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝、三木睦子、小森陽一/著

出版社; 岩波書店 (2013/4/5) ¥525


いろんな本がある中で「岩波ブックレット」が、私の“お気に入り”です。軽くて薄いので、カバンに入れて持ち歩き易い。それでいて、内容は決して軽くなく、深くてためになるからです。  この『いま、憲法の魂を選びとる』を店頭で見かけたときも、すぐに買おう!と決めました。私の尊敬する大江健三郎さんが著者の一人だというのも、決め手になりましたね。

 買って帰り、すぐに大江さんの「この国は民主主義の国か」という文章を読みました。そして「よくぞ書いて下さった!」と、嬉しくなったのです。

まず、原発の問題ですが、国民の多くは原発再稼動に反対ですよね。反原発のデモはあちこちで行なわれていますし、国民の声を聴く「パブリックコメント」の募集もありました。実は私も、神戸YWCA平和活動部の仲間と相談して「原発稼動ゼロを!」という意見を送りました。寄せられた多くのコメントが同じだったようです。 それなのに、当時の政権は「2030年代に原発稼動ゼロ」と言いつつも、閣議決定を避けました。アメリカの有力な政治家たちが原発政策を続けるようにと迫ったこと、日本の経済界からも圧力があったことが原因だと、大江さんは書いておられます。そして、これは民主主義ではない!と、憤っておられます。

 沖縄のオスプレイ配備についても同様です。大臣の一人が「私たちはアメリカに対して何も言うことができない」と言ったそうですが、「これが自立した民主主義の国なのか!」と。 そして、国民の反原発の声も、オスプレイの事故を憂慮する声も、どちらも「憲法にこそもっとも大きい根拠を置いていると考えている」と書いておられます。 また、現行憲法はアメリカに押しつけられたものだ、という説に対しては、「私は日本の市民たちが心からそれを望んだということを、子供の目と頭ながらしっかり受けとめていた者として、確信をもって証言しうる世代です」と明言して下さっています。

 さて、このブックレットには、元三木首相夫人の三木睦子さんのお話もありますが、とても興味深いものです。安倍晋三首相が岸家の孫だということは周知のことですが、父方の祖父が安倍寛という政治家だったということは、ほとんど知られていませんね。その方は当時の軍部主導の議会を厳しく批判し、常に平和の大切さを説いておられたというのです。  三木さんは、安倍寛さんのことを「いまの新聞は何も書いてくれない。私はもう、腹が立って仕方ありません。…この平和な日本をつくるためにどんなにかご苦労なさったのかということを書いてほしい」と、語っておられます。そして、安倍総理に会うことがあれば「あなたのおじいちゃまはねぇ」と、話したいと。  残念ながら、三木睦子さんは他界されましたが、私たちも安倍寛さんの存在を知らないといけないでしょう。そして、安倍首相に「父方のおじいさんの姿こそを見習って、平和憲法を壊さず護ってほしい!」という声を発したいと思います。

奥平康弘さん、澤地久枝さん、小森陽一さんの文章もあります。皆さまに、この岩波ブックレットをお奨めします。持ち歩くのに軽くて、内容の深いこの本を、ぜひお読みくださいね!(K.T)


いま、憲法の魂を選びとる (岩波ブックレット) 』を読んでみたい人はこちら




赤ペンチェック 自民党憲法改正草案

伊藤真 著

大月書店 (2013/5/31) ¥ 1,050


「自民党政権が今の日本国憲法を改定しようとしているみたいだけど、実際どういうふうに変えようとしているの?何だか悪い方向に変えようとしているようだけど、ニュースでは断片的にしか伝わってこなくて分かりづらいし…」そんな疑問に答えてくれるのが伊藤真さんの『赤ペンチェック 自民党憲法改正草案』です。

 この本を読めば、本来国家権力を制限する憲法が、自民党草案では国民の権利を縛り義務を押し付けるものに180度変わっていることが分かります。もはや憲法とは言えない自民党「改正」草案、その問題点を丁寧に指摘・批判しています。 この本の特徴の一つは、憲法前文から条文ごとに一つ一つ検証しており、自民党の「改正」理由を載せた上で、その理由のおかしさを立憲主義の観点から指摘している点です。9条や96条の改定の問題点はもちろんのこと、実はどの条文改定も、立憲主義・個人主義・平和主義を壊してしまう内容であると気づかされ、その改定の多さに驚きます。

たとえば、自民党草案24条では家族の助け合いを義務づけていますが、そもそも義務づけること自体が立憲主義の点から問題であることはもちろん、個人よりも「人」や「家族」を上位に置いているのも、個人の尊重を本質とする立憲主義に反していると述べています。また、家族の絆が大切であるとしても、生き方は多様であって、最終的には「あるべき家族の姿」は個人の内心にゆだねられる問題、つまり国家が介入する問題ではないとしています。そして、この規定を25条の生存権規定の前に置くことによって、国会による社会保障の充実よりも家族による扶助義務を優先させ、家族の存在が生活保護申請を制限する根拠に使われるおそれが出ているといいます。

条文一つとってみても、現行憲法の理念、ひいては人類が獲得した個人の権利の到達点をこれほどまでに骨抜きにしてしまう自民党草案の恐ろしさ・稚拙さが、本書を読めばはっきりと分かります。 (M.N.)


赤ペンチェック 自民党憲法改正草案 』を読んでみたい人はこちら




本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書2)

前泊博盛/編著

出版社; 創元社 (2013/2/28) ¥ 1,575


日米地位協定が憲法より大切?憲法は最高の効力を持つ「最高法規」だと、学校でも習ったはずなのに。
 諸外国では、憲法より簡単な手続きで結ぶことができる条約よりも、一国の憲法が優位にあるのは当たり前なのに、なぜか日本では、優位にあるのは憲法か、それとも条約かの判断について専門家が議論するほど、法体系があやふやな状態だ。
 どうしてそうなってしまったのか、歴史的な資料と、編著者がジャーナリストとして蓄積してきた確かなデータから読み解く、まさに目から鱗の一冊だ。オスプレイの表紙に400ページの分厚い本はハードなイメージがあるが、中身は至ってソフトで、分かりやすくテンポのよい言葉であっと言う間に読めてしまう。
 「なぜ、戦後70年たっても、まだ米軍は日本にいるのか?」
 「なぜ、経済的利益のないTPPが、強引に進められようとしているのか?」
 「なぜ、原発災害の当事国である日本が、原発をやめられないのか?」
 「なぜ、基地ひとつ動かそうとしただけで、首相が失脚してしまうのか?」
 Q&A方式で構成されたこの本は、私たちの気に何となく引っかかっていながらも、そういうものだからと流しかけていた、なぜ、なぜ、なぜ…を一気にひも解いてくれる。

日本YWCA 編集部


本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書2) 』を読んでみたい人はこちら




井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法 (シリーズ 子どもたちの未来のために)

出版社: 講談社 (2006/7/21) ¥1,000


新潟YWCAの社会問題勉強会は、2013年4月26日、新潟市中央公民館で 井上ひさしの『子どもにつたえる日本国憲法』をテキストに 用いて勉強会を開催しました。

これまでも、この勉強会で各条ごとに憲法の学習をしてきましたが、月1回開催でほぼ1年がか りでした。しかし今回は、多くの人にやさしい言葉で、子どもにもお年寄りにも 伝えたい!大切な憲法をよく知らず、成りゆきに任せて改憲に賛成してほしくな いとの思いで、この本をテキストに用いました。

「私たちが、同じ願いをもつ
 世界のほかの国々の人たちと
 心をつくして話し合い
 そして力を合わせるなら
 かならず戦はいらなくなる」

この言葉に励まされました。 年輩の参加者の方は、戦時中に教師から「国のため、天皇のために死ななかった ら犬死にだ!」と繰り返し教えられたこと、反戦的な考えを持っているだけで捕 えられた人を知っていると、その経験を話されました。

今、自民党・安倍政権は第96条の改憲が緊急であるかのように叫んでいます。 憲法は国民のためにあるもので、国が誤った方向に舵を取らぬよう、改憲に関し ては高いハードルを設けています。憲法が、国の暴走を食い止めているのです。 改憲の真の目的である第9条を変えることは、主権在民、永久平和、基本的人権 が危うくなることです。

「戦はいらなくなる」
世界が平和であることが皆の希望であり、それ故に、改憲させてはならないこと を確かめ合いました。(新潟YWCA 社会問題勉強会)


井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法 (シリーズ 子どもたちの未来のために) 』を読んでみたい人はこちら




命こそ宝―沖縄反戦の心 (岩波新書)

出版社: 岩波書店 (1992/10/20) 

「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)この本のタイトルです。この本は、伊江島で、沖縄戦を経験し、一人息子を失い、戦後は、土地を米軍にとられ、それでも反戦地主として生涯闘い続け、さらに、反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」をつくり、伊江島で起きていること、戦争、そして平和について発信し続けた阿波根昌鴻さんが、その人生と思いを書き綴ったものです。この本全体は阿波根昌鴻さんが私たちへ語りかけるような形で書かれています。非常につらく、目を覆いたくなるような現実が記されていますが、それを阿波根昌鴻さんが柔らかく語りかけてくれることで、受け入れることを可能としてくれています。

阿波根さんの語りからは、その純粋で一途な思いがひしひしと伝わってきます。それは、決して自分たちが被害者であるために行動しているというのではなく、平和という人類にとって普遍的に求めるべきもののために行動しておられたことからくるのでしょう。そのため、この本では、日本が犯した過ちについてももちろん考えさせられます。

阿波根さんは、その平和を求め、行動していくためには、何か特別なことををするのではなく、生活の場から行っていくことが基本であるということを教えてくれます。それは、私たちに沖縄だけではなく、私たちの身の回りで起きている平和ではないものと向き合うことを教えてくれる言葉なのかもしれません。(S.H.)

命こそ宝―沖縄反戦の心 (岩波新書) 』を読んでみたい人はこちら




聖書にみるドラマ

出版社: 婦人之友社; 新版 (2012/4/5) ¥1,575

神学者や牧師による聖書の解説書は読み進むのに息が切れそうなものも多い。本書は作家や文学関係者・弁護士・医師・司祭他いろいろな立場の人が聖書の中からそれぞれひとつのドラマ(場面・主人公)を取り上げて、“自分の読んだ聖書”を語っていて読み易い。また全体の構成は旧約~新約の流れをとっていて、万物の創造から人間の救いにいたる神の思いの壮大なドラマとして読むこともできる。

月刊誌『婦人之友』に掲載された聖書の記事をまとめた単行本(1982年)の復刻版であるが、多くの不安や困難の中に生きなければならない今、その意味を問うために復刻が望まれたことに納得する。(K.A)


聖書にみるドラマ 』を読んでみたい人はこちら




新しい東アジアの近現代史[上] 国際関係の変動で読む 未来をひらく歴史
新しい東アジアの近現代史[下] テーマで読む人と交流 未来をひらく歴史

日中韓3国共通歴史教材委員会 編  日本評論社 (2012/9/20) 上¥2,625 下¥2,625

日中韓の研究者や市民が、異なる歴史的な視座を認めつつ、対話を積み重ねた末に編み出されたのがこの歴史書だ。特に下巻では、国家の歴史ではなく民衆の視点で、戦争とメディア・教育・ジェンダー・戦争責任と戦後補償・日本軍「慰安婦」問題をめぐる国境を越えた女性たちの連帯運動、そして未来に向かうための歴史認識の問題などを捉えている

この2冊の本を読んで、私が「客観的な事実」として学んできた歴史は、実はアジアの侵略戦争の加害者としての記憶を完全に封印した、自国中心的な歴史であることに、改めて愕然とさせられた。現人口の70%を占めるという戦後世代に、戦争の歴史的事実、特に日本の戦争加害とその責任に向き合うことを伝えるのは、決して「自虐史」教育ではない。偏狭的な民族主義・国家主義のもと、民衆が犠牲とされた過ちを二度と繰り返さないために、そして近隣のアジア諸国とともに平和の未来を築くためには、今こそ国境を越えた歴史認識の共有を出発点として、繰り返し対話を続けることが大切だと思う。(E.K.)


新しい東アジアの近現代史[上] 国際関係の変動で読む 未来をひらく歴史 』 『新しい東アジアの近現代史[下] テーマで読む人と交流 未来をひらく歴史 』を読んでみたい人はこちら




キリスト者として“原発”をどう考えるか (3.11ブックレット)

内藤新吾 著 いのちのことば社 (2012/3/2) ¥735

教会で原発のことを話題にしにくいのだけれどどうしたらいいだろう?YWCAに連なる人の中にはこんな思いを持つ方も多いのではないだろうか。この問いにスッと答えてくれるこの本は、YWCAの学習会にぴったり。教会に連なる人たちにも、そうでない人たちにもぜひ読んでいただきたい手軽な一冊である。今を生きるすべての人に生きることの意味と責任を考える機会を与えてくれると思う。

我が敬愛する内藤新吾牧師は、いのちのことば社からこの本を書いてほしいと依頼があったこと、忙しいので充分時間をかけて書けなかったことを話しておられた。内藤牧師は昨年浜岡原発の地元から千葉県に転居され、今や首都圏でピッパリダコとなっている。でも本の内容は充実しており、とてもわかりやすい。それは、本を書くために考えたことではなく、生き方・信念そのものだからに違いない。

最後に、何度読んでも涙が溢れる、文中に引用されている言葉を紹介する。「神はこの世では全能ではないが、私たちを愛しており、善である」。これは聖書の言葉ではないが、今回のようなあまりにも大きな災害や苦悩についての、内藤牧師が「心の内の確信」としているユダヤ教のラビの言葉である。これからも、いつもこの本を手にしていたい。(R.F)


キリスト者として“原発”をどう考えるか (3.11ブックレット) 』を読んでみたい人はこちら




要石:沖縄と憲法9条

C.ダグラス・ラミス著 晶文社 (2010/10/23) ¥1,995

1月22日、ダグラス・ラミスさんを新潟に迎え、「基地は『沖縄問題』ではなく、本土の問題」と題して「ナインにいがた」(新潟YWCAは賛同団体)主催の講演会を開いた。

ラミスさんの講演に先立ち、「小学生が100人だったら」と題してコントが演じられた。
1人で75個のランドセルを担がされている小柄な子どもが「ネェ助けてよ」と声をあげるが、周りの子は「やだよ」「僕たち今、ランドセル反対運動しているからそれが実現するまで待ってね」と過ぎ去る、という内容である。

ラミスさんは「Oh! このことを話そうと思ったら盗まれた」と感心しながら?笑っていらした。

さて、本のタイトルにある「要石」とは、石を積み重ねてアーチを建築する時に使われ、アーチが崩れようとする力を固める力に替える石である。
では、もし沖縄が要石なら、その比喩はどんな現実に基づいているのか。
憲法9条をなくすのは反対だが、米軍が近くにいないと不安―この矛盾する二重意識が崩れない答えは沖縄だ。 日米安保条約から生まれる基地を「遠い」沖縄に置き、基地問題を「沖縄問題」と呼ぶことで、なるべく考えないでいられる。

ラミスさんは、新潟への基地移設案を披露し勉強会を開けば、沖縄の人の心に大きく響くだろうと言われた。 本書を読んで、真剣に考えるチャンスとしたい。(Y.Y.)


要石:沖縄と憲法9条』を読んでみたい人はこちら→




沖縄―アリは象に挑む
由井 晶子著 七つ森書館 (2011/06) 1,890 円

著者の由井晶子さんは沖縄に生まれ、「沖縄タイムス」東京支局の編集局長・論説委員を歴任されたフリージャーナリストです。 「運動に少し距離を取りつつ寄り添いながら、全体を見回し論考するという立場で、定点観測のように沖縄を書き続けた」この文章は、1998年12月【米軍基地批判の大田昌秀知事、三選ならず】で始まり、2011年5月【あえて「挙国一致」の先になにが…を問う】までを収録した「労働情報」の所載記事です。 周到な頭注資料や地図は、沖縄に対する私たちの浅薄な知識を十分に補ってくれます。読書会などで取り上げ、沖縄の心に自分たちの心を合わせた方もいらっしゃいましょう。

名護市辺野古沖の海上基地建設に伴うボーリンブ地質調査の掘削作業が本格化する中、資機材を積載した「象」のような作業船3隻に対して 反対する人々は「アリ」のように小さなカヌーで「挑ん」だのです。ジュゴンが棲息するという辺野古の海に面したテント村で、欠かさず今日も座り込みを続けながら アクリルたわしを編んであられる平良悦美さんの、その祈りにも似たお姿に接した時のことを今思い出しています。いかなる状況にあっても、望みを失わない、しなやかな女性たちの群れのお一人です。(M.S.)


沖縄―アリは象に挑む 』を読んでみたい人はこちら→




もうひとつの核なき世界 真のCHANGEは日本が起こす
堤 未果著 小学館 (2010/11/29) 1,470 円


著者は、世界の原子力エネルギー依存の状態や政策を紹介し、世界各地における核施設や核実験、紛争地で使用された劣化ウラン弾等が自然や人体に及ぼした影響、原発施設とその事故がもたらしてきた放射能被曝の実態などを専門的な調査結果のデータや資料を駆使しながら明らかにしていく。
また、「核なき世界」をめぐるさまざまな声を、ヒバクシャ、兵士、市民運動家、原子力研究者、労働者、政治家、教師、学生達へのインタビューを通して紹介しつつ、被爆国として核廃絶を訴える一方で、アメリカによる核抑止力や、原発安全神話にぶら下がり、経済を優先させてきた日本の矛盾をつきつける。

果たしてこの本の発行3ヶ月後ついに危惧された事態が勃発した。日本は巨大地震・津波によってレベル7の原発事故を引き起こし放射能汚染加害国となってしまったのだ。
著者は核兵器と原発から脱却する方法を真剣に議論し「真のCHANGE」を日本から起こしていこうと訴える。(K.T.)


もうひとつの核なき世界 真のCHANGEは日本が起こす 』を読んでみたい人はこちらから→





父とショパン
崔善愛著 影書房 (2008/12) 2,100円


「『素晴らしい音楽家には、思想がある。たとえばショパン』。指紋押捺を拒否し日本再入国不許可となった時、在日朝鮮人の父は私にそう言った。『日韓併合』という侵略によって国を奪われた朝鮮。そして在日朝鮮人の奪われた民族性を取り戻したいと行動し続ける父。そんな中わたしはショパンの手紙と出会う。二度と戻れないかもしれない、と『・ZAL』という言葉で悲しみの本質を表現したショパン。この悲しみは国を奪われた悲しみであり、父の悲しみでもあった」。
ショパンのうたが自分の悲しみのように響くとき人と人は分かりあうことができると願う、祈りと情熱の一冊です。(M.K.)


父とショパン 』を読んでみたい人はこちらから→




沈黙を破る

沈黙を破る―元イスラエル軍将兵が語る“占領”
土井敏邦著 岩波書店 (2008/5/9) 2,415 円


沈黙を破ったのはイスラエルの元将校の青年たち。
彼らは絶対的な権力を手に占領地で行ってきた加害行為を告白し、自らの人間性・倫理感喪失の痛み、そして病む祖国の蘇生を訴える。
自国の安全以外には目を向けようとしない世論の非難の声の中で。

それは、破壊と殺戮に晒される現実をたくましく生き抜くパレスチナの人々の生活の記録と共に描かれる。

長年パレスチナに関わってきたジャーナリスト土井は、イスラエル・パレスチナ問題を加害・被害両面から描くことで、侵略・占領・加害について我々自身の過去と現在を問いかけもする。著者は同名のドキュメンタリー映画の 監督でもある。(K.T.)


沈黙を破る―元イスラエル軍将兵が語る“占領” 』を読んでみたい人はこちらから→





反戦のともしび

反戦のともしび―第二次世界大戦に抵抗したアメリカの若者たち―
ラリー・ガラ、レナ・メイ・ガラ編著 師井裕一監訳 明石書店 (2010/6/10) 2940円


本書は、第二次世界大戦下の米国で、良心に従って兵役を拒否し、長い時は5年間も刑務所で服役した6000人の中の10人の青年たちの証言集です。

刑務所での暴力や人種差別、ダニやシラミ、酷い食事や過酷な労働にも屈せずに、ハンガーストライキなどの非暴力抵抗を続け、粘り強く人権の回復を獲得していった彼らの姿から、私は一人ひとりの非暴力抵抗が現実に力となり変化をつくり出せる事実を教えられ、勇気を与えられました。

6年前、熊本YWCAが40周年記念に米国への平和の旅を実施、編集者夫妻と出会って本書を贈られ、翻訳・出版が実現したことはうれしい限りです。(M.I.)


反戦のともしび―第二次世界大戦に抵抗したアメリカの若者たち― 』を読んでみたい人はこちらから→





アンネ・フランクその15年の生涯

アンネ・フランク―その15年の生涯
黒川万千代著 合同出版(2009/07) 1575円

「アンネの日記」は、世界中の多くの人が一度は読んだ本ではないだろうか。

アンネと同時期に生まれ、広島の原爆を体験した著者は、アンネ・フランクの15年の生涯を、アンネを取り巻く人々、オランダの市民の反ナチス抵抗運動、そして著者が体験した当時の日本の状況とを織り交ぜ、複眼的な視点で丁寧にたどった。

収容所の最悪の状況下でのアンネの死と、戦争によって強制された死を「清く、美しい」と言う傾向に警鐘を鳴らす著者。「どんなに悲しくても、どんなにつらくとも、戦争による死を美化してはならない」。 アンネと著書から私たちが学ぶべきものは多い。(M.K)


アンネ・フランク―その15年の生涯 』を読んでみたい人はこちらから→





ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)
堤未果著 岩波新書 (2010/1/21) 756円

先日、米国で医療保険制度改革法が成立し、事実上の国民皆保険が実現する見通しとなった。だが本書によれば前途は決して明るくはない。

ブッシュ時代の行き過ぎた市場原理によって教育・いのち・暮らしを奪われる有様を描いた前作に続き、続編では政権交替によっても変わることのない、強大な政産軍複合体と大資本が支配するメディアが作り上げた公教育や社会保障などの「システム」に焦点を当てている。セーフティ・ネット不在のこのシステムの中で、一歩足を踏み外すと路上生活や塀の中から抜け出すことは不可能である。

両書を通じて、筆者は米国の現状が決して対岸の火事ではなく、日本の私たちに「真実を見抜く目」を持つように訴えている。(A.Y.)


ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書) 』を読んでみたい人はこちらから→


▲ページの先頭へ